ジェトロ主催「ベトナム食品関連産業発展シンポジウム」参加レポート

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ジェトロが主催する「ベトナム食品関連産業発展シンポジウム」が先日2017年12月12日にヒルトン ハノイ オペラで開催されました。シンポジウムでは、農業・6次化・飲食事業・アグリツーリズムの先行事例を持つ日本人によるパネルディスカッションやベトナム政府機関によるプレゼンテーションが行われました。

イベントでのセッション内容をレポートしたいと思います。

 

ベトナムの現状について

ベトナム商工省 アジア・アフリカ市場局のハイ様からも挨拶がありました。

ベトナムは、東南アジアの地域統合を目指して、世界貿易機関(WTO)に加盟から10年に。ベトナム企業も、国内・国外のニーズ拡大に合わせて、食品加工産業に進出する事例が増えています。(2017年12月食品加工業20%増の見込み)

一方で課題も多く、品質的・価格的にも国内需要にも対応できておらず、近隣国からの輸入に頼っている状況にあります。ベトナムからの輸出も増えてはいるものの、ベトナムの人材力を活用できていません。

課題を解決するためにも、ベトナム地場企業とのネットワークを強化したり、同業種との連携を測っていくことが求められています。研究開発においても、資本・技術不足があり、日本との協力の強化を期待しています。2018年は、日越外交関係樹立45周年。発展のためには法律整備や企業協力も必要で、このシンポジウムでは、率直な意見交換を期待しています。

パネルディスカッション〜36次化の意義と企業による事例紹介〜

まず、パネルディスカッションのテーマにもなっている「36次化」について、ジェトロハノイ事務所長の北川様から説明がありました。日本では一般的に、一次産業(生産)×二次産業(加工)×三次産業(流通・販売)=6次産業です。日本・ベトナムの連携により、さらなる価値創出を目指して「36次化」を目指していきましょうという、北川様が発想した概念とのことです。

和郷園グループ 木内様

和郷園は、100軒の農家が集まっている事業化された集団で、生産された野菜と統一したブランドとして売り出しました。品質向上、消費者に対する安全宣言、技術の啓蒙をするのが和郷園の活動で、農業者の自立を目指しています。す。株式会社和郷は、農産物の加工(冷凍野菜、カット、ドライ加工、デリカ加工)と流通を行っています。

日本の工業の技術を活用した、広大なガラス温室での野菜づくりをしていて、例えばレタスだと毎日3万株、天候に左右されず生産されます。農業をより生活者に知ってもらうために、TheFarmというコミュニティファームも作りました。現在は水産事業も行なっており、海外へも供給しています。

2年前から、タイでバナナのブランドを作っており、タイ国内のコンビニやスーパーへの供給構築もサポートしています。その中でも高品質バナナブランドは日本への輸出を行なっています。ベトナムでは、ダラットでサツマイモ栽培のR&Dを終えたところ、単位面積あたりの収穫量を2.5倍に向上させることができました。ベトナムの一般的なサツマイモは、A品率が35%程度ですが、70%弱まで引き上げることができました。また、日本ではサツマイモは1作、ベトナムでは2.5作できるのも利点のひとつで、焼き芋や冷凍の加工指導も行う予定です。サツマイモの食文化を作ることをベトナムを中心に行いたいと考えています。

スノーピーク地方創生コンサルティング 後藤様

地域資源を活かした地方創生コンサルティングを行っています。ここ数年流行しているラグジュアリーなキャンプ「グランピング」を導入し、その地域の資源を活かしたイベントを開催するといった取り組みを行っています。”もの”も大切ですが、その”もの”が生み出される景観も大切で、それが地域の価値になります。

Pizza 4P’s 益子様

6年前にベトナムで起業して、現在はベトナム人1000名、日本人15名のチームになっています。資本金4億円で、ベトナム国内にあるPizza 4P’sの全8店舗を直営で運営しており、年商は13億円です。

食品製造販売製造をダラットで行っていて、3トンの牛乳を使ってチーズを製造し、高級レストラン、スーパー、コンビニの自社ブランドパッケージを販売しています。また、現在はホーチミンのみですが、オンラインの食品配達事業も行っています。

生産の卸事業もやっていて、チーズ、ワイン、ドレッシングなどレストランで使える食品を、他社と提携して販売していきたいです。冷凍ピザも作っていますが、冷凍ピザは全自動が難しい商品です。逆にはベトナムでは作りやすい商品なので、輸出もめざしたいです。

オンライン食材販売事業は、レストランの顧客からのニーズがあり、スタートさせました。例えば、ベトナムでは意外に流通していない「骨なしの鶏肉」といった要望があれば、ベトナムの食肉加工業者に要望を出して、つくってもらいました。

Pizza 4P’sは、日本人とイタリアンを融合させたジャパニーズイタリアンのレストランで、ベトナムの花を使うなどオリジナルのメニューづくりをしてきました。顧客の70%はベトナム人のミドルアッパー層で、客単価は1000〜1500円程度で年間100万人のお客様に来店いただいています。2018年7店舗目を開店予定です。JapaneseQualityを重視していて、高品質チーズ、日本人設計のインテリアなどにこだわっています。

ベトナムでフレッシュモッツァレラチーズを作っている企業がなく、自ら牧場を探すところからスタートしました。牧場を訪ねては、5Lの牛乳を買い、チーズの試作を繰り返しました。日本のチーズ職人にも手紙を送ったりもしました。チーズの品質のために良質なミルクが必要だと考え、牧場もはじめました。良いものを作るために、牛の餌、さらには餌が育つ土壌などを突き詰めていきました。コンサルタントの協力も得て、推進しています。

ルッコラやイタリアンバジルといった野菜の栽培も行いましたが、農業は難しく、現在は休止しています。現在は農家さんと提携し、種選びから一緒に行っています。

ベトナムには”フレンチコロニー”と呼ばれるような建築遺産が多くありますが、保持されずに壊されてしまっているケースも多く、Pizza 4P’sではこの建築をうまくいかした店舗デザインにしています。Farm to Farmのコンセプトが珍しかったこともあり、世界各国のメディアにも取り上げられ知名度が広がりました。いまはインターネットの時代なので、うまく発信していくことができます。

元々は、東京に住んでいた時、趣味で自宅のピザ窯でピザを作っていました。ベトナムで熱中できる事業を考えたときに、体験型の食のテーマパークを作りたいと考え、まずはレストランからだと始めたのが、Pizza 4P’sです。将来的には、学校やテーマパークをつくっていたいと考えています。

体験型のリゾート施設も小規模でスタートさせようと準備をしていて、ダラットに開設予定です。チーズづくりのプロセスから食の安全を体験できるようにしたいです。

今後、ベトナム発のグローバルな企業のなり、モデルケースになりたいと思います。ベトナム国外、インドのバンガロールに来年出店予定です。規模的には、1兆円の規模の会社をつくっていきたいです。ベトナムでリアルなビジネスをするときにはまだまだ課題も多いですが、ひとつひとつクリアしていきたいです。

【質疑応答】資本について

質疑応答のセッションでこんな質問がありました。

Q:いずれのモデルケースもとても関心があるが、展開するにしても資本が必要になる。資本面については、どうお考えですか?(ベトナム人のみかん農園経営者からの質問)

(和郷園 木内さんの回答)

農業はインフラが必要な産業なので、まずは小規模ではじめて、事業の可能性を探ることをしています。事業計画を作り、それがマーケットに有効であることを投資家に説明する必要がありますが、小規模モデルの実際の数字を元に、投資家に対して事業の成功を説明することができます。

(Pizza 4P’s 益子さんの回答)

レストランを開くという場合でも、初期投資がある程度かかります。私はサラリーマン時代の貯金を使いました。ただ、2店舗目を出店するときに、ベトナム政府機関からライセンス面の問題を指摘され、一気に3年分の内部留保がなくなってしまいました。ベトナム人パートナーが必要だと考えて、入ってもらいました。

 

 

イベントの後半では、政府機関による食産業の高度化に向けた支援策と提言というテーマでセッションが行われました。私は別件があり、途中退席となってしまいましたが、日本での成功事例として有名な和郷園の木内さんやベトナムで先駆的にビジネスを展開している益子さんのお話を伺って、とても勉強になりました。

 

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JETRO主催「ベトナム食品関連産業発展シンポジウム」

開催日:2017年12月12日(火)
場所:ヒルトン ハノイ オペラ
《関連ニュース》
農業や食品産業に日本のノウハウを ベトナムでシンポジウム | NHKニュース
ジェトロ「ベトナム食品関連産業発展シンポジウム」、ハノイで12月開催 [イベント] – VIETJOベトナムニュース

※ このレポートはイベント主催者のジェトロハノイ事務所の許可をいただいて公開しています。

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TokumineAkari

1990年生まれ。大学時代に、沖縄の学生ビジネスコンテストで2年連続最優秀賞。Starup Weekend OkinawaやPOStudyなどのイベントを運営。沖縄県内のIT企業を経て、フリーランスのWEBディレクターとして独立。半年の東京滞在の後、東南アジアを巡る旅へ出発。2016年3月から徳島に移住し、有機農業を学ぶ。2016年11月からベトナム・ハナム省在住。ITと農業、2足のわらじ履いてます。